症 例 患者:45歳,男性. 主訴:便潜血陽性. 現病歴:検診で便潜血陽性を指摘され,精査目的に 前医で大腸内視鏡検査を施行したところ,盲腸に粘膜 下腫瘍(Submucosal tumor:SMT)を認めた. 2 回の 生検でも確定診断には至らず,精査加療目的に当院紹 介受診となった. 血液生化学所見:腫瘍マーカーを含め,特記すべき 異常所見を認めなかった. 下部消化管内視鏡検査:盲腸に10mm大の黄色調の SMTを認めた(Color 1).頂部の陥凹は,前医で施行 した生検痕と考えられた. 大腸超音波内視鏡検査(EUS):第 2 〜 3 中層に限局 する内部エコー均一な 8 mm大の低エコー腫瘤を認め た(Fig. 1). 治療方針:カルチノイドを疑いboring biopsyを施行… Click to show full abstract
症 例 患者:45歳,男性. 主訴:便潜血陽性. 現病歴:検診で便潜血陽性を指摘され,精査目的に 前医で大腸内視鏡検査を施行したところ,盲腸に粘膜 下腫瘍(Submucosal tumor:SMT)を認めた. 2 回の 生検でも確定診断には至らず,精査加療目的に当院紹 介受診となった. 血液生化学所見:腫瘍マーカーを含め,特記すべき 異常所見を認めなかった. 下部消化管内視鏡検査:盲腸に10mm大の黄色調の SMTを認めた(Color 1).頂部の陥凹は,前医で施行 した生検痕と考えられた. 大腸超音波内視鏡検査(EUS):第 2 〜 3 中層に限局 する内部エコー均一な 8 mm大の低エコー腫瘤を認め た(Fig. 1). 治療方針:カルチノイドを疑いboring biopsyを施行 したが,腫瘍の病理組織診断には至らなかった.粘膜 下層に限局する 8 mm大の病変であり,診断的治療目 的に大腸粘膜下層剝離術(Endoscopic submucosal dissection:ESD)を施行した. ESD所見:施行時間39分.術中,粘膜下層を認識し ながらの腫瘍下部への局注によるliftingは良好であり, 病変深部を認識しながら切除した.切除標本径25× 22mm,病変径 9 × 7 mmで,一括切除された.明らか な偶発症は認めなかった(Color 2). 病理組織学的所見:HE染色(Color 3)では,粘膜組 織下に紡錘形細胞の小束が錯綜を認め,Antoni A型 (線維束型)と考えられた.免疫染色ではS-100蛋白陽 性(Color 4),Vimentin陽性,Chromogranin A陰性, α-SMA陰性,CD34陰性,C-kit陰性,DOG1陰性で, MIB1 < 2 %であり,以上から良性の神経鞘腫と診断 した.水平断端,垂直断端はともに陰性であった. 術後経過:治療後経過は良好で,術後 3 日目に退院 した.
               
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